人間というものがほとほと嫌になっていた
私も悪かった。でも、みんなつめたかった
最初から冷たいものなら安心して触れられるのに、おいで、と手を広げられて飛び込めばこおりみずに突っ込まれるような
にがくてくるしいかかわり
でもひとりではいきていけなくて
かろうじてつながりながらも
辛くなってこっそりいけないことをした
何故か私ではない誰かがそれを悲しんだ
辞めなさいと言った
だから辞めた
そしたら違うところがどんどん綻んでいって
それを繕うためにもっといけないことをした
一番泣きたい私の涙を勝手に奪って泣いた
「あなたの大事な体でしょう、あなたは大事なものを失っている」という言葉が滲みた
分かりきったことで
それでも、それでもこうしなければ生きていけなかったんだ
寄り添ってはくれない、心配のことばばかりの大人に囲まれて笑った
笑っているうちには無視してくれるからだ
それがらくだった
たくさん、きっと、いっぱい失った
未来を先払いして今を生きることしか出来なかった
そんなふうにしか生きられない私に厭きた大人は成る可く早くゴミ箱に棄てようとみんなで協力して私を抱え上げた
「そんなことをしている人を受け入れることはできません」と口を揃えて
つめたかった、さみしかった
もう嫌だった
大人も、自分も、信じられなくなって
腕を切っても血を抜いても薬を飲んでも殴っても何一つ埋まらない
からっぽでくるしい
だから肺を海水で満たせばやっと
私は私になれて
私は私を得られるのではないか
そんな気がして…
だから…
捨てないで…
もう、いらないって、いわないで
私どうしたらいい?
嘘でもいいよ、あいしてるっていって
そしてあなたの実験体として棄てて