遺言

一緒に生きたい

受け入れられぬものはきらいではなかった

ただ、吐き気がして、とても、持っていられない

傷んだシチューを胃に押し込もうとして吐いた

あの時の感じ

 

受け入れられぬものでも優しいことを知った

きたないばかりではない、甘い味

噛み潰せば苦い

けれど舌で転がせば

 

受け入れられぬものを抱いて歩けば柔らかい

尖っていて硬い

だけど世界は柔らかかった

私の目にはそう映った

 

吐き気を我慢して見る世界はきれい

木陰の吐瀉物は、きっと世界が無に帰す

土にばら撒かれた骨は、きっと世界が無に帰す

そんな世界が好きだった

そんな世界は美しかった