遺言

一緒に生きたい

すり抜ける未練の一片

私は留年と休学で同時に卒業した人たちとも2歳離れていたし、だから2学年から選択出来て受講生徒の多い授業、近くに座ってよく話したり一緒に作業した子とは4歳も離れていた

その子が今年、卒業だった

 

先生にも皮肉を多分に込めて、「あの子が居なければ卒業出来なかったね」って言われたくらい、事情何ひとつ深入りしてこない、ただそばにいるだけで救われた、そんな子

時々振る舞いに違和感を覚えた、複雑な過去を抱えてた

それがどうこう、というわけじゃないけれど、少なくとも、きらきらしていて眩しい彼等と居られない私にとっては、とても居心地のいい人だった

あの時、薬漬けだった私はほとんどのことを憶えていられなくて……だから、本当にわずかの記憶しか持ってないけれど……、夏、彼女は、私のためにミントの苗を買って来てくれたの

嬉しかった

 

「卒展には必ず行くね」

と約束をしたのに、行けなかった

インターネット越しに見る作品には、キャプションらしきものもなくて。研究室名と、名前、それだけだった。

自分で感じ取ることは大事だけれど、もし、一緒に見ることが出来たなら、色んな話を聞けたんじゃないかなって

それに、あの時のお礼とか、結局何1つ言えなくて

もう会うこともないんだろうなって

 

本当に本当に数少ない誰かに私はいつも、こんなに支えられていて、けれど私がこんなだから、誰とも長く一緒にはいられないのが悲しい

せめて、せめて…あの子のこれからが幸せでありますように

穏やかな日々でありますように