遺言

一緒に生きたい

煌めきの中にいるひと

12月も終わる。一年前、あの人が住んでるだろうところへ行ったこと。夜がとても綺麗だったこと

今……私には帰るところと居場所がある 居ることを許されているあったかいところ。

けれどそれまで、ひとりだったとき。ずっと縋りたくて、でも一度も得られなかった温もりに伸ばした手が、ある、遺されてる。あの煌めく夜の街に

「逢いたい」とはちがう

すれ違った誰かが、あなたならいいのに、って

私、空気の様になりたくて

あなたには見えない、何者でもない誰かになって、その横を過ぎ行く ただその一瞬がほしい

あなたがもし私が今見た景色を同じように、瞳に映したことがあれば、と思うと泣きそうなほど嬉しかった

同じようにきんと冴えた空気で命をつないでいる、

この街のどこかで、生きているのだと思うと……

 

誰でもよかったんじゃなくて。あの時、私の声が届くうちで唯一あなたが、私の縁だった

今は違うけれど、あの時はたしかに

幸せだといいな……

みんなみんな、そしてあなたも、幸せだといい

幸せでありますように