遺言

一緒に生きたい

秋のこと

やっぱり、傷のことと、一人暮らしのこと、秋や寒さばかり思い出すの

悲しんでいるうちは、まだあの時の私と今の私がおなじものであることが明らかな気がして、安心する。理解出来る。手に取るようには、もう分からなくても、少なくとも忘れ去り、忘れ去られたわけではないのだと

こうして刃が突き刺さったまま、抜けることなく、ずっと痛み続ければいいのに、そうすればあの子は、過去に取り残されることもなくなる

ひとりきりはこわいのだ、寒いのも、お腹が減ってることさえ分からないのも、とてもつらいこと

そんな淋しいときに置き去りにするのは、とても、酷いことだから、せめてこの月、季節は、思い出してあげるのが、私のせめてもの慰め

 

救けてあげられなくて、ごめんね

私があの時に行けたなら、全てから庇って守って、抱きしめて、手を繋いで、ずっと一緒にいる

私が一番欲しかったことをしてあげることはできなかったけれど、……忘れないから、大丈夫だよ、どうか、ほんの少しでもきみが、済われますように