遺言

一緒に生きたい

crawl

前の人と別れたの、7年前の夏

みずみずしい教室、

テーブルに反射する夕陽、

ひとりきり、

 

晴れた終わりの日。

涙で水をあげた。

どうやって帰ろう。

歩く足が残された。

 

私は、常夜灯のオレンジがすき

程よい涼しさがすき

閉じたカーテンの裾から換気扇へ風の流れる音

つま先に滲む夜の黒

すべすべのシーツ

もふもふのおふとん

くるまって

ゆったり、低いところを飛ぶ感覚

crawlは……

やわらかな橙色をしている

 

ひとりきり、

緩やかに落ちてった

自分のからだが自分のものでないみたい

自分のこころが自分のものでないみたい

このまま、どこまでもいける……

あの頃の、どこかへ行きたかったきもちは、

きっと帰り道を探してた

今はそう思う

 

あの7年前の夏から

いいえ、10年前の夏から

ううん、12年前の夏から

沈んで、底

もう日向へは戻れない

でもここでいい

なにもかもが、すっと沁みていく

ありのまま を受け入れることは

愛すことは、くるしくて

だけどやさしい