遺言

一緒に生きたい

心は絶えず死んでいく

にこにこ笑っていたって、からだは血を流していなくたって、ひどい言葉はいともかんたんに人を殺してしまうんだ。こわいとか、くるしいとか、かなしいとか、そういうのだって、積もり積もればこころを殺す。ひとというものは、からだとこころで出来ている。そのどちらかが死んでしまったら、もう、元には戻れない。世界には幸せなこともあるけど、つらく苦しいことばかりで、こころは絶えず死んでいく。殺されていく。

 

死ぬのは辛いことだ

死ぬのは苦しいことだ

でも一番苦しいのは

死んだことさえ気づけずに生きていくことだ

 

あの時の私は人の手が欲しかった

繋いでくれる手が欲しかった

一人で震える足に鞭打って

清々しい朝、蝉時雨の中84錠を思い切り掻き込んで

腹痛と吐き気と乾いて回らない舌で話した

どうしてこんなに孤独なんだろうと泣いた

分からない

そういう思いをして欲しくない

させたく、ない

そうして、「きみはひとりじゃないよ」という言葉で、共に慰める過去の己がいるのも確か

ひとりになっちゃ、だめだよ

ひとりは悲しいからだめだよ

ひとりはさむいからだめだよ

一緒にいる 一緒にいるから、大丈夫だよ…