遺言

一緒に生きたい

あの夏棄てたもの

胸を張ることなんて出来ないのだ

列挙したとて何一つ変わらない。嘆いても何一つ、何一つとして

なぜなら、欲しいものを全て持っている。欲しいと言うと、間違いだけれど 私は彼女みたいになりたい。彼女になりたい。だって私が私である限り、私は……

 

悔しい訳じゃなく、哀しいだけ。すり抜けてく。左腕の通り、私は何一つとして儘ならない でもあの時は、死ぬつもりでいた その時は許せた 私がどれだけ劣っていて無価値で愛されなくても、とてもとてもとおい世界の出来事だと思えば、もう許せた 腕を切らなければ、薬を飲まなければやり過ごせないような激情も凪いでいった どうして私はこんななんだろう 私は自分のことが許せないし、愛することもできない。口ではそう言ったって、本当はできない。できっこない!私は被害者だ。私がこんなだから、ずっとずっと苦しめられてきたのだ

 

だけど、どうしてだろう 悲しくて泣けてくる。私は私に愛されたくて、私を愛してくれるのは私しかいなかったから、本当は大事にしたかった けど、私が私であるせいで、いろんな人が困って、苦しんで、迷惑を掛けて……最後は皆、まるで命だけあればいいと言うように、私の嫌なことであっても強制してきた 私を生かすために。つまり、「私」はどうしようもないくらい、私の心は救いようのないほど、無意味で不必要なのだ。私自身も散々、痛めつけられてきた ほとほと嫌になる。こんな私を、どうやって愛せばいいのだろう

 

生きるのに向いていない けど、死ぬことも出来ずにいる 「私の望むこと」って、何なんだろう…?本当は真っ当に生きて生きたい なんの面白みもない、平凡でつまらない、そんな人生がいい…左腕も要らない。私も要らない 素晴らしいひとじゃなくていい、彼らみたいになれたら…みんながうわべの私を見て、喜んでくれたら、私も嬉しい。

わたしはあなたになりたい あなたの理想になりたい あなたの望むように振る舞う存在になりたい、そこに私は要らない