遺言

一緒に生きたい

育てるということ

危険から守ってあげたかった

危害を与えるものから庇ってあげたかった

「叱る」と「怒る」は違う

言葉の解らないちいさな彼らを護るのは私たちの仕事

して欲しくないならこちらが手を打つべきで、彼らを怒ることじゃない

ダメだよと叱るのは、怪我をして欲しくないから

「痛い目を見れば分かる」という父のスタンスは嫌いだった

「お父さんがそう言うから」と見て見ぬ振りの母も

幼くてまだ身を守ることの出来ない彼らを束縛したり人間の我儘や身勝手で怒鳴りつけたりしない

どうか自由に過ごして、無事大きくなれるように、唯一危ないことは「ダメだよ」と口調で諭す 決して手を出したりしないで。

彼らは……ちっとも馬鹿なんかじゃない

私の言ってることをちゃんと分かってる

ちゃんと伝えれば、解ってくれる

うりちゃんがそうだったように

 

子育てとはなにか、と、よく考えた

怒鳴り散らすことが躾なんて憂さ晴らしの建前を正とする大人は大嫌いだ

わけも分からず恐怖を叩き込まれて、しちゃいけないんだと思い知らせるのが躾だなんて甚だおかしい

こうしたら怪我するから危ないよ、だからダメだよと教えるのが親の仕事なんじゃないかな、と、彼らといて思った

子供も動物も人が思うより利口だ

なんで怒られたんだろう 幼い頃私はそれをずっと考えていた

怪我をして知る前にそれを教えて欲しかった

 

私は彼らの良き親になれたかな、と時々思う

彼らがそばで心地よさそうに眠ってる時なんかに。

幸せで居てくれたらいい

…彼らを世話しながら、ちいさかった私自身の混乱や不信感も癒していた、のだと思う

行き場のなかった不満やどうしてなのという気持ちを宥めながら、育て直していた

「こうしてくれたらいいのに」ということを、彼らにすることで、私は納得がいって、とても穏やかな気持ちになった

私は私自身にとって良き母になれたと思う

良かったよ、ありがとうね