遺言

一緒に生きたい

なんかごめんね、ありがとう

前付き合ってた人は今でも時々夢に見る

大体が悪い夢なんだけど、でもその人を嫌いに思ってるわけじゃなくて、どちらかというと……しあわせになること、それが壊れていくこと、ふしあわせになることも教えてくれたし教えられた

良くも悪くも、彼女は素直な人だったから、好き嫌いもはっきりしてて、さっぱりしてて、歯に衣着せぬ物言いに傷つくこともあったけど、嫌な感じはなくて……それでも喧嘩ばっかりで……

 

なぜだろう、あまりたくさんのことを思い出すことが出来ないの

断片的な思い出はあるけれど、それだけしか……

彼女はいまもしあわせにしてるかな、そうだといいな

でももう二度と会いたくないな

夏になったら、また思い出のかおりがして、そういえば、今年は、あれから10年なんだね

未練なんてこれっぽちもないし、でも後悔はやまほどあって、その気持ちを癒すために「しあわせでいてくれたらいいな」なんて思う私は卑怯ものなんだと思うけど、あの夏があってよかった あの夏が今も続いてて、この私があるのだから、よかったよ

あの人も……そうだといいと思うのだ

あの夏が消し去りたい記憶じゃないといい

ちょっとでも覚えていてくれたらうれしいな