遺言

一緒に生きたい

小さな海

早く会いたいとおもうの久々かもしれない

人と会うの嫌だったし話すのも怖いのに、あの子には会いたいし会う夢を見る

薬は飲んでいかない 会う恐怖より忘れたくない気持ちの方が断然強い そりゃあ、どう見られるかとか、振る舞いが変だったらやだなっておもうことはちょっとはあるけど、でも、最初からそういう不安はなかったよ

じゃなければ今すぐ会いに行くなんてできない

恐怖を感じる前にからだが動いていた 手摺を離れていきそうなかぼそい腕 取らなければ昔そっちに落ちていった自分みたいに暗くてせつないせかいが彼女を待ち受けていると思うと耐えられなかった 許せなかった

笑っててほしい そんなせかい、見なくていい

最初はそんなことを思って手を取った

 

でも彼女の手のひらは本当に優しくて、つめたくて、温かくしてあげたい、なんて思うような小さくやわらかいもので、だから、なんでもなくていいからそばにいたいと願った

私がその昏いせかいを隠すことが出来るならずっとここに立っていて、後ろ手にカーテンを閉じる、それが出来るならなんでもいい

けど、好きだと言ってくれるなら私もすきだっていう いいたい、

もしどうしてもそのせかいから逃げることが出来なくてもふたりなら何とかなるのかもしれない、そうなら、もうカーテンを閉じなくてもいいかな、なんて、

あの夜願った「ひとの手」に私が成れたらいいなって思った

それはせかいから庇ってくれるものかもしれないし、手を繋いで一緒に歩いていってくれるものかもしれない

私はそれを得ることが出来なかったからわからない、けど、でも、大事なの、

大事にしたい 守ってあげたい

つらさやかなしみに塗れて後戻り出来なくなる前にどうかここで

大好きだよ、ほんとうに