遺言

一緒に生きたい

幸せとは

みんなが明るい方に向かって歩いていく。

私はそれを遠くから見ている

焦りと、儘ならなさに対する苛立ちと、不安に苛まれて

わかってはいるのだ

酷いことを言うのは憧れているから

自分にはどれほど希ったって、けして届くことのないものだからと不貞腐れる

いままでどおり、自分は暗いところにしかいられないから、と

けど、けれどもしもそこにいけたなら?行けるなら行きたいのか、と言われたら。私はみんなと同じように、ごく普通に在りたい、普通になりたいと、どうしたって願ってしまう

消せない痕を抱えても、それでも私のままで、幸福に生きていけたら。

この呪いを呪いのままで終わらせることなく、己の手で解くことができるかもしれない

けれど、けれど思う

ああこれは夢のように、甘くて切ないネロリの香りだ。幾度も揺られた優しい曲を聴きながら

当たり前に、私はそういうふうに生きてはいけない、夢は夢のままで、このまま死んでいくのだ、と、それがいつものように、頭の中を占めて

やっぱりこの香りの思い出の中で、何もかも終わって仕舞えばいいのかもしれない、って

普通さえ、それさえ手に入らないなら、もう、終わりに

ずるずると延期して、あの時生き延びた意味をいまだに見出せずにいるのに、これ以上無駄に生きても、認めることも許すこともできず、自分が嫌いになるだけだ