遺言

一緒に生きたい

きみの冷えたからだ

雨降りに窓を開け放って、冷えた指先で猫の肩を触る

温かくて驚く。毎回、そんなことを繰り返している

あの子は冷たくなったのにどうして?

そんなことを思ったりする

あの子は冷たくなったのに、私はどうして?

冷え切ったままでいれば彼の苦しみがわかるんじゃないかと思うのを止められない

そんなことをしたってだれも報われない

彼も報われない

だけど痛みを共有することでしか共感ができない

一緒に喜んでいたとしても私と彼の隙は埋まらない

共通するのは痛みだけ、怪我は誰でも痛い

だから信頼できる

今、きみとおなじきもち。そうして寄り添う

きみは暖かいのが好きなのに、どうして?

どうして冷たくなって、私はそうではないのだろう

それで「可哀想」なんていう資格は無いんだ

同じ立場に立って、同じ痛みを共有して、可哀想に、と思ったならそれがただしい

憐れむのでは無く、同情するのではなく、おなじなんだ

隙間なくおなじなんだ