遺言

一緒に生きたい

ネタバレ有り〼

竜とそばかすの姫をみた感想と、思ったこと

見返ししたら変わるかもしれない。

この映画、曲が好きな感じだったので楽しみにしてた。本当は観に行きたかったけど…YouTubeに公式が動画を出しているので、そのコメントを見て、まあ、最近の細田守ぽく論点とっ散らかってる感じなのかなあという印象だったが、キャラクターも可愛いしすごく楽しみだった。で、地上波見て。

主人公はちょっと感情移入しにくい感じだった。不幸な過去があるのも、トラウマを抱えているのもわかるけれど、周囲の人間関係は恵まれてるよなあ。て感じで。そこまでもうお仕舞いだ!ドン底!みたいな、ウルトラ・スーパー・卑屈人間になるほどかな?と思ってしまったり。金髪の自称ヒーロー・ウザい。主人公→男・よく分からない。野獣・感情の振れ幅が病的な感じ。でもやっぱり歌も映像もとても良かった。ん?てところは所々あるけど、歌は勿論、夢の中の景色を描いたみたいな、抽象的で懐かしさのある背景はとても綺麗ですき。

で、結末について。世界観が壮大故、劇的なラストを迎えていたなら、多分みんなも文句言わないんじゃないかな。とは思う。でもあの、事象的には極普通な、非現実的じゃない終わり方は個人的には好きだった。実は野獣=年端もいかない少年で、父親に虐待めいた事をされていて、それを知った主人公があなたたちを助けたい。と言った時の台詞は特に、とても共感出来た。助けるって簡単な言葉だもんな。誰でも言えるし。

ここからは感想と言うより思ったこと。

最後主人公はその子供たちに実際に会いに行って、怒鳴り散らす父親に頬を抉られても子供たちの前から退くことはなかった。父親はその毅然とした態度に怯んで逃げてくわけだけど、もしも父親がマジの「ヤバ人」で、主人公が殺されかけても退かなかったんじゃないかなって印象だった。あれは、確かに「助ける」という言葉の通り、ちゃんと助けたな、と思った。

少年が言ってたとおり、今までにも「助ける」と言われた事自体は何度もあるんだろうな。でも助けるって、簡単なことじゃないし。手に触れて、命を懸けて守る、それくらいのことも出来ないのなら、覚悟がないなら、初めから助けるなんて言うべきではない。と私は思う。

んで映画に無関係の極論だけど、あの子たちと主人公がその後どうなったかは分からないし、良いふうに進んでいけばそれに越したことはないなと思う、けど、私は、被虐児はみな、中途半端に救われることもなく、死んでいくのがいちばんさいわいだ、と思っている。メディアは目も当てられない様な非道い事をされて生き延びた子供を「命だけでも助かってよかった」などと無責任に言うけれど、その子は一生、誰にも、自分でさえ消せない呪いを抱えて、誰のことも心から信じられず怯えて、上手く振舞って馴染んでいけない上に、成人したら「そんなのお前の責任」と罵られて生きていくしかないのに、命だけ助かってそれが幸いとはとても思えないので。映画のように、それでも命をかけて守ってくれる他人がいるならまだしあわせ。でもそんなことは滅多にないし……

あの話はあれで終わり!で、私は良かったかなあと思う。でも口で「助ける」と言うのを助けることだと思ってる人達からしたらよくわかんないんじゃないか?とも思った。どっちにしろ明るい話でもテーマでもない。見る人を選ぶのかな、と。けれど色々考えずに見ても綺麗で素敵な作品だと思いました。私は好きです。おわり。